ドバイ不動産の税金【2026年決定版】|家賃・売却・法人・相続
結論から言うと、UAE現地では不動産にかかる個人の所得税・譲渡益課税・固定資産税はありません。ただし日本に住んでいる方(居住者)は、ドバイ不動産から得た家賃や売却益も“日本で”課税されます。これが「ドバイは税金ゼロ」という言葉の落とし穴です。
2026年の変更点:知っておくべきは1つだけ
2026年時点で、日本人投資家に関わる税制の骨格(全世界所得課税・譲渡所得・相続・CFC)に大きな改正はありません。変わるのは法人保有の前提です。
- UAE法人税(2023年6月導入・標準9%)には、年間売上AED300万以下の事業者が課税所得ゼロを選択できる移行措置「中小企業向け救済措置(Small Business Relief)」があります(閣僚決定第73号/2023)。
- この措置は2026年12月31日までに終了する課税期間が最後です。2027年以降に開始する課税期間では適用できません(延長は本稿執筆時点で公表されていません)。
- 「小さい不動産保有法人だから税金ゼロ」で組んだストラクチャーは、2027年から毎年の申告・帳簿・9%課税の世界に入ります。
→ 2027年のSBR終了が不動産保有法人に与える影響と対応チェックリストは「2027年、UAE法人の実質免税が終了|国際弁護士・税理士が解説する5つの対応」で解説しています。法人か個人かの根本の選び方は「個人と法人どちらで持つ?」をご覧ください。
設例で見る:実際にいくら課税されるのか
※ 以下は理解のための簡略化した設例です。実際の税額は経費・所得状況・為替により変わります。1AED=43円で換算。
設例1:家賃収入(個人・日本居住者)
200万AED(8,600万円)の物件を購入し、年間グロス賃料14万AED(約602万円・利回り7%)を得たケース。管理費等の控除後ネット収入を約530万円、日本側の必要経費(減価償却・固定資産税相当・渡航調査費等のうち認められるもの)を差し引いた不動産所得を仮に350万円とすると、これが給与等と合算され総合課税されます。課税所得900万円超の方なら所得税率33%+住民税10%の限界税率帯で、この不動産所得だけで概算150万円前後の追加納税になり得ます。
注意(2021年以降の重要改正):国外中古建物の減価償却による損失は、他の所得と損益通算できません。「海外中古で節税」は既に封じられています。
設例2:売却益(個人・5年超保有)
8,600万円で購入した物件を5年超保有し、1億1,000万円で売却(譲渡費用200万円)したケース。譲渡所得=1億1,000万円−(8,600万円+200万円)=2,200万円。長期譲渡所得として20.315%=約447万円の納税です。5年以下の短期なら39.63%=約872万円。保有期間の1日の差が425万円の差になり得ます。さらに、AED建てで同価格でも円安が進んでいれば円換算の譲渡益が生じる点(為替が生む課税)に注意してください。判定は円ベースです。
設例3:法人保有(UAE法人・2027年以降)
UAE法人で物件を保有し、賃料収入が年60万AED(約2,580万円)、課税所得が40万AEDのケース。2026年までは売上AED300万以下なら救済措置で実質ゼロを選択できました。2027年以降は、課税所得のうちAED37.5万を超える2.5万AED部分に9%=2,250AED(約10万円)の法人税、そして毎年の申告・帳簿義務が発生します。ただし、法人税は、適切な範囲の役員報酬等で税額を合理的な範囲で抑えることも可能ですので、ご相談下さい。税額自体より、会計・申告の実務負担が恒常化することがインパクトです。加えて日本居住者が株主なら、外国子会社合算税制(CFC)で日本側課税の検討が別途必要です。ここも、事前にスキームを十分に検討して課税リスクを下げることもできる場合があるのでご相談下さい。
日本居住者が押さえるべき4つの論点
日本の所得税法では、居住者は国内外で得たすべての所得が原則として課税対象です(全世界所得課税)。ドバイ不動産についても、①家賃=不動産所得(総合課税・原則確定申告)、②売却益=譲渡所得(分離課税・保有期間で税率が変わる)、③相続=相続税(全世界財産が対象になり得る)、④法人保有=UAE法人税+CFC(合算課税)、の4つを押さえるのが出発点です。以下、テーマ別に整理します(個別の結論は状況により異なります)。
テーマ別ガイド
購入の実務ガイド
業者の見極め・詐欺リスク・銀行口座開設など、安全に買うための実務は購入の流れ・購入ガイドで解説しています。契約時は売買契約(SPA)の注意点、物件選びはエリアガイドもあわせてご確認ください。
関連ページ
出典・参考
- 所得税法(全世界所得課税の原則)
- 国税庁タックスアンサー(不動産所得・譲渡所得・相続税の各項目)
※ タックスアンサー番号・条文は変更され得ます。最新の内容は国税庁・UAE FTA等の一次情報および専門家にてご確認ください。
よくあるご質問
ドバイ不動産の家賃収入は日本で課税されますか?
ドバイ不動産の売却益は日本でどう課税されますか?
外国税額控除は使えますか?
法人で持てば無税になりますか?
2026年末で終わる「法人税の免税」とは何ですか?
確定申告をしないとどうなりますか?
相続が発生したらドバイの不動産はどうなりますか?
ドバイに移住すれば日本の税金はかからなくなりますか?
一次情報・出典
- UAE Federal Decree-Law No.47 of 2022(法人税法)/Ministerial Decision No.73 of 2023(中小企業向け救済措置)
- UAE Ministry of Finance(財務省)・Federal Tax Authority(FTA)の公表資料
- 国税庁 タックスアンサー(不動産所得・譲渡所得・外国税額控除・国外財産調書 該当ページ)
※ 条文番号・タックスアンサー番号は変更され得ます。最新は各一次情報および専門家にてご確認ください。
この記事の執筆・更新について
本ページは、DLD・ADREC登録ブローカーであり税理士・国際弁護士(日本・シンガポール・UAE)である森和孝が、法令原文・UAE財務省・連邦税務庁(FTA)・国税庁の一次情報に基づき執筆しています。税制は改正されるため、毎月レビューのうえ更新日を明示しています。個別の判断は必ず専門家にご相談ください。
本記事は一般的な情報提供であり、個別の税務・法務判断を保証するものではありません。実際の適用は個々の状況・最新の法令により異なります。具体的な判断は税理士・専門家にご相談ください。